猫耳と表現されるくらいいたるところで猫の耳は活躍していますね。

ところで実際の猫の耳はどのような役割があるのでしょう?

ではみていきましょう。

 

1. 耳の構造

猫の耳は、外耳、中耳、内耳の3つの部分に分かれています。それぞれの部分が異なる役割を果たし、聴覚やバランスを維持するために重要です。

a. 外耳
  • 耳介(じかい):猫の耳の外側部分で、耳全体の形を形成しています。この耳介は、周囲の音を効果的にキャッチし、音を耳の内部に集める役割を果たしています。
  • 外耳道:音を中耳に伝える管で、人間よりも細く、鋭角的な形をしているため、音を集める効率が高いです。
b. 中耳
  • 鼓膜:外耳からの音を振動として受け取る膜。鼓膜の振動は中耳の耳小骨(槌骨、砧骨、鐙骨)に伝わり、内耳に音を送り込みます。
  • 耳管:中耳と鼻腔をつなぐ管で、耳の内圧を調整するための機能を持っています。
c. 内耳
  • 蝸牛(かぎゅう):音の振動を電気信号に変換する部分で、猫が音を「聞く」ために必要です。
  • 三半規管:バランス感覚を司る部分で、猫が高い場所に登ったり、素早く動いたりする能力に関与しています。
2. 猫の耳の機能

猫の耳は、非常に優れた聴覚機能とバランス感覚を備えています。

a. 優れた聴覚

猫は、32個の耳の筋肉を使って耳介を細かく動かすことができ、音の方向を正確にキャッチすることが可能です。このため、猫は360度の範囲で周囲の音を感じ取ることができます。また、猫の聴覚は人間よりも広範囲で、20Hzから65kHzの周波数を感知できます。これは、人間の約3倍の高周波数まで聞き取れる能力です。

  • 狩りに役立つ聴覚:この優れた聴覚により、猫は小さな獲物が発するかすかな音や、高周波の音を正確に聞き分け、捕食行動に役立てています。
b. バランス感覚

内耳にある三半規管は、猫がバランスを取るために重要な役割を果たしています。これにより、猫は高いところを歩いたり、ジャンプしてもバランスを崩さず、スムーズに動くことができます。特に、猫がジャンプして着地するときにバランスを取る能力や、回転して着地する「猫のひねり反射」は、この内耳の機能に大きく依存しています。

3. 猫の耳の健康

猫の耳はデリケートな部分でもあり、さまざまな病気やトラブルの原因になることがあります。

a. 耳ダニ(耳疥癬)

耳ダニは、猫の耳に寄生して炎症やかゆみを引き起こします。耳ダニに感染すると、猫はしきりに耳をかいたり、頭を振ったりする行動を見せます。黒っぽい耳垢が溜まることもあり、早期の治療が必要です。

b. 外耳炎

猫は、細菌や真菌、異物の侵入などで外耳炎を起こすことがあります。外耳炎の症状としては、耳の中が赤くなったり、異常な耳垢が見られることがあります。耳の異常に気づいたら、早めに獣医に相談することが大切です。

c. 聴覚障害

高齢の猫や、病気や怪我の結果として聴覚が低下することがあります。加齢による聴覚障害はゆっくり進行するため、猫の行動に変化が見られた場合は、聴覚に問題がないか確認することが推奨されます。

 

猫の耳は、優れた聴覚とバランス感覚を支える重要な器官のようです。

32個の筋肉を駆使して耳を動かし、微細な音までキャッチできる猫の耳は、狩猟動物としての生態に大きく貢献しています。

また、耳の健康を維持するためには、定期的にチェックし、異常があれば早めに対応することが重要ですね。